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CO-店主のヴィンテージボタンや日々のあれこれ。
by co-button
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19世紀~20世紀のボタン (ヨーロッパ)
19世紀の終わりごろから、ファッション誌が、続々と創刊され、1つの流行が、全ての階層まで行き渡るようになりました。ファッションの移り変わりと共に、ボタンは、それまでのステイタスや富の証としての座を、しだいに、失って行きましたが、新素材の登場などにより、面白みのあるボタンが多数、生産されるようになりました。

○1870-1914年 
・紳士服とボタン
19世紀後半には、紳士服は既に現在と同じようなものになっていましたが、帽子・手袋・ステッキなどの小物を使うことで、お洒落を楽しんでいました。この頃の、イタリア人男性は、シャツのボタンを日中は金メッキ、夜は小さな貝や宝石調のボタンと、1日の中でも使い分けていたのだそうです。まだ、ボタンがお洒落のアイテムとして欠かせなかった時代なのですね。また、このエピソードから、「女性らしい・・・」と感じてしまうようなボタンも男性が使っていたのだと言う事が分かります。
・婦人服とボタン
19世紀の終わりから、20世紀の始め頃にジャケット・スカート・ブラウスといった、女性用のテイラードスーツが登場しますが、第一次世界大戦が1914年に始まる前頃までは、まだ多くの女性がコルセットを身に付け、ドレスを着用していたようです。さて、この時代、女性はどんなボタンをつけていたのでしょうか?1861年にヴィクトリア女王は夫を亡くし、喪に服します。このときに、黒いドレスに黒いジェットのボタンを身につけて居た事から、黒がブームとなります。そして、ジェットより安価であった、黒ガラスのボタンが庶民の間で大流行しました。また1890年から1900年代は、アールヌーボーの影響を受けて流れるような曲線のデザインや花をイメージさせるようなデザインのボタンが数多く作られていました。
この時代にそのようなボタンを身につける事は、「お洒落」には欠かせない事であったと想像できます。

○1914~ ‐女性のファッションの変化とボタン‐
1914年に始まった第一次世界大戦により、女性は会社や工場で働くようになりました。1918年に戦争が終結しても、女性の社会進出は進みました。足全体を覆うような丈のスカートは、はくことがなくなり、この時期に、婦人服は大きな変貌を遂げました。アールヌーボーの後に広がったアールデコの時代がくると、女性達は、洋服に合わせて、コスチュームジュエリーを楽しむようになり、ボタンからは無駄な装飾が排除され、シンプルなものが作られるようになって行きました。この時期には、セルロイド・ベイクライト・カゼイン・ルーサイトなどの新素材を使用したボタンも登場しました。これらのボタンは、現代のプラスティックボタンにはない素材感やデザイン性を持っています。

○戦後 
Fashionに若者と大人の世代間ギャップが生まれ、多くのファッションデザイナーが誕生した時代がやってくると、既製服がつくられるようになりました。ボタンの製造も次第に既製服向けのもの変わって行きます。
ボタンの歴史上、長い間、装飾品としての座を保ち続けたボタンは、補助的な役割になっていきますが、その流れに対抗するかのように作られた、しっかりとした主張を持つデザインのボタンや、アーティストによる芸術的なボタンの登場にも注目です。
by co-button | 2005-04-23 02:06 | ボタンの歴史
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